殺意 [日々雑録]
世の中では防衛大臣が「国賊」という言葉を用いて、
野党の元議員(元首相だが)の行為を批判したことが物議を醸している。
その言葉にしろ、現代においてタブー視されている言葉にしろ、
軽蔑の心を持たず、各自の信念に基づいて選択された言葉であるならば
僕は、その言葉を発した人間の気持ちを出来る限り慮りたい。
それはさておき。
演出家として、目の前の役者を抹殺してしまいたい。
と思う「殺意」は、昔と比べるとかなり減ってきて、
それは楽しい状態で稽古場にいられることでもあるので、
一見いいことのようにも思えるのだが、同時にちょっと淋しくもあって。
今日は久々に脳天に血が昇って、ちょっとホッとした。
この思いがなくなったら、劇作家としての命はそこで終わりだろう。
作家・演出家は自分の思いの発露を他人に任せるという、非常に苦々しい作業を強いられる。
それは、「託してよかった!」と思える瞬間があるのを知っているから、
まるで蟻地獄のようなスパイラルにはまるように、その苦しみに果敢に挑むわけだけど。
まあ、とにかく100のうち99は、自身と俳優とのあいだの「ズレ」が
苦しくてもどかしくて悲しくて、憎らしい日々。
「どうしてこの思いが分からないのか!」と思う。
「お前は人間の血が流れていないのか!」と思う。
そのズレを楽しめるようになったら、楽しい稽古をやれるのかも知れないけど、
僕の書く作品はどうやら、わいわいと楽しみながら作るものではないようだ。
「ギリギリ」と自身の身が削られるような苦しみを
アーティスト同志が共有することをこそ楽しいと思える、
そんな環境のなかで作られてゆく作品であるらしい。
人間はみんな醜い。けど、それが愛おしい。
だから、その醜さを慈しみぬいて欲しい。
僕が抹殺してしまいたいのは、目の前にいる人間の肉体なんかではなく、
人間の醜さを赦してくれない、その癒されない演技、そのこころ。
僕は死ぬまで、俳優に対して殺意を持ち続けたい。
野党の元議員(元首相だが)の行為を批判したことが物議を醸している。
その言葉にしろ、現代においてタブー視されている言葉にしろ、
軽蔑の心を持たず、各自の信念に基づいて選択された言葉であるならば
僕は、その言葉を発した人間の気持ちを出来る限り慮りたい。
それはさておき。
演出家として、目の前の役者を抹殺してしまいたい。
と思う「殺意」は、昔と比べるとかなり減ってきて、
それは楽しい状態で稽古場にいられることでもあるので、
一見いいことのようにも思えるのだが、同時にちょっと淋しくもあって。
今日は久々に脳天に血が昇って、ちょっとホッとした。
この思いがなくなったら、劇作家としての命はそこで終わりだろう。
作家・演出家は自分の思いの発露を他人に任せるという、非常に苦々しい作業を強いられる。
それは、「託してよかった!」と思える瞬間があるのを知っているから、
まるで蟻地獄のようなスパイラルにはまるように、その苦しみに果敢に挑むわけだけど。
まあ、とにかく100のうち99は、自身と俳優とのあいだの「ズレ」が
苦しくてもどかしくて悲しくて、憎らしい日々。
「どうしてこの思いが分からないのか!」と思う。
「お前は人間の血が流れていないのか!」と思う。
そのズレを楽しめるようになったら、楽しい稽古をやれるのかも知れないけど、
僕の書く作品はどうやら、わいわいと楽しみながら作るものではないようだ。
「ギリギリ」と自身の身が削られるような苦しみを
アーティスト同志が共有することをこそ楽しいと思える、
そんな環境のなかで作られてゆく作品であるらしい。
人間はみんな醜い。けど、それが愛おしい。
だから、その醜さを慈しみぬいて欲しい。
僕が抹殺してしまいたいのは、目の前にいる人間の肉体なんかではなく、
人間の醜さを赦してくれない、その癒されない演技、そのこころ。
僕は死ぬまで、俳優に対して殺意を持ち続けたい。